猫の下部尿路疾患はとても多いですよね。
市販のキャットフードでも、「下部尿路」や「phケア」と書かれたパッケージをよく見かけます。最近では「ストルトバイトフード」という言葉もよく聞くようになりました。
そんな下部尿路疾患ですが、すでに「尿路結石」「膀胱炎」などと診断されている場合は、獣医さんと相談しながら、療法食を摂り入れる場合が多いです。
ですがまだ症状はないものの、飼い猫のために予防したい飼い主さんもいると思います。
そこで今回、下部尿路疾患の予防に役立つキャットフードの選び方や、市販で買えるおすすめのフードをご紹介します。
また安いフードと高いフードの違いなども解説します。
なぜ猫は下部尿路疾患になりやすいの?
下部尿路疾患で多いのが、膀胱炎と尿路結石(尿石)です。
犬にも下部尿路疾患はありますが、猫の方が下部尿路疾患になりやすいと言われています。
猫が下部尿路疾患になりやすい原因はさまざまですが、
・尿を作る腎臓の機能が弱い
・おしっこを我慢してしまう
・水を飲む量が少ない
・運動不足や肥満
などが原因と言われています。
猫の下部尿路疾患を予防する3つのポイント
尿のphを整える
人間の場合なら、さきほど挙げた生活習慣を改善すれば良いのですが、猫の場合はそうもいかないですよね。
そこで一番簡単な予防方法が、「ミネラルバランス」と「尿のph」を整えることです。
尿石は、基本的にミネラルバランスが関係しています。
マグネシウムとカルシウムのバランスが偏ってしまうことで尿石が作られやすくなるため、ミネラルバランスが調整できるフードを選ぶと良いでしょう。
また尿結晶は、おしっこの状態(ph)が「アルカリ性」になると作られやすく、かといって「酸性」の状態になるとシュウ酸カルシウムが作られやすくなります。
そのため、phが中性になるように、調整することが大切です。
ストレスケアも重要
猫が膀胱炎になりやすい理由に、「ストレス」があります。
もともと猫はストレスに弱く、例えばトイレが汚れていたり、多頭飼いで他の猫と同じトイレを嫌がるなど、些細なことでトイレを我慢するようになり、膀胱炎になることも多いです。
そのため、ストルトバイトフードの中には、ストレスケアの成分が含まれているものも多いです。
ウェットフードもおすすめ
猫は犬に比べると、水分摂取量が少ないと言われていて、それも下部尿路疾患の原因のひとつになります。
そのため、ドライフードよりも水分量が多く含まれるウェットフードを摂り入れるのもおすすめです。
猫の「下部尿路疾患」おすすめフード比較表
猫の下部尿路疾患予防におすすめ!キャットフード7選
低マグネシウムと2種類のベリー配合で尿路ケア
商品名 | GRANDS チキン&サーモン |
対象年齢 | 全年齢 |
形状 | ドライフード(小粒) |
原材料 | 脱水チキン30%、フレッシュチキン15%、脱水サーモン14%、チキンファット10%、チキンプロテイン2%、サーモンオイル0.8%、さつまいも、じゃがいも、エンドウ豆、チコリ、マンナンオリゴ糖、ビール酵母、ユッカエキス、クランベリー、ブロッコリー、ブルーベリー、グルコサミン、コンドロイチン、ビタミン類(A、D3、E)、アミノ酸類(タウリン、L-カルニチン)、ミネラル類(銅、ヨウ素、鉄、マンガン、セレン、亜鉛) |
成分 | 粗タンパク質36%、脂質17%、粗繊維4.5%、粗灰分8.5%、水分10%、オメガ6脂肪酸0.7%、オメガ3脂肪酸0.5%、リン1.1%、マグネシウム0.09%、ナトリウム0.6%、カルシウム1.6% |
添加物 | 人工着色料・保存料・香料など無添加 |
穀物類 | 不使用(グレインフリー) |
カロリー | 361kcal/100g |
原産国 | フランス |
基準が厳しい欧州生まれのグランツは、「チキン&サーモン」の他に「チキン」と「サーモン」の全3種類があり、どれもお肉やお魚が70%以上と高たんぱくで、猫が喜ぶキャットフードです。
マグネシウムの量を低く抑えることで、ストルトバイト尿石のリスクを軽減してくれます。さらにベリーを2種類配合することで、尿路ケアもできる、下部尿路疾患になりやすい猫におすすめのキャットフードです。
糖質も23%以下に抑えているので、肥満予防したい猫にもおすすめです。
獣医師と栄養学者が開発した特別療法食
ヒルズ c/d マルチケア シーフード
商品名 | ヒルズ c/d シーディー マルチケア シーフード |
量 | 82g |
対象年齢 | 全年齢 |
形状 | ウェットフード |
原材料 | ポーク、フィッシュ、米、動物性油脂、コーンスターチ、セルロース、コーングルテン、チキンエキス、植物性油脂、魚油、酵母、ミネラル類、ビタミン類(ビタミンE、ベータカロテン、他)、増粘安定剤(グァーガム)、アミノ酸類(タウリン、メチオニン) |
成分 | たんぱく質43%、脂質19.9%以上、粗繊維3.9%、灰分6.3%、カルシウム0.78%、リン0.69%、カリウム0.88%、ナトリウム0.36%、マグネシウム0.057%、タウリン0.51%、ビタミンA118170 IU/kg、ビタミンC12ppm、ビタミンD1191 IU/kg、ビタミンE1155 IU/kg、オメガ-3脂肪酸1.03%、オメガ-6脂肪酸4.2%、βカロテン4.35ppm(※水分除去後の栄養素) |
添加物 | 増粘安定剤 |
穀物類 | 使用 |
カロリー | 68kcal/缶 |
原産国 | アメリカ |
獣医師と栄養学者が開発した、猫の尿ケアをサポートするヒルズの療法食です。
「ミネラル」と「尿ph」のバランスを調整することで、下部尿路疾患で一番多いと言われる、特発性膀胱炎を89%ケアできることが科学的に証明されています。
猫の健康維持に欠かせない抗酸化成分「オメガ-3脂肪酸」配合。
ウェットタイプで水分も同時に補給できるのも嬉しいポイントです。
濃度を適切にして、尿の回数を増やす
ロイヤルカナン ユリナリーケア
商品名 | ロイヤルカナン ユリナリーケア 健康な尿を維持したい成猫用 |
量 | 2kg |
対象年齢 | 生後12ヶ月以上 |
形状 | ドライフード |
原材料 | 超高消化性小麦タンパク(消化率90%以上)、コーン、肉類(鶏、七面鳥)、米、小麦、動物性油脂、植物性繊維、コーングルテン、加水分解タンパク(鶏、七面鳥、魚)、コーンフラワー、ビートパルプ、酵母および酵母エキス、大豆油、魚油(オメガ3系不飽和脂肪酸〔EPA+DHA〕源)、マリーゴールド(ルテイン源)、アミノ酸類(DL-メチオニン、タウリン)、ミネラル類(Cl、Na、K、Ca、Zn、Mn、Fe、Cu、I、Se)、ビタミン類(コリン、A、D3、E、C、ナイアシン、B2、パントテン酸カルシウム、B1、B6、葉酸、ビオチン、B12)、酸化防止剤(ミックストコフェロール、ローズマリーエキス) |
成分 | たんぱく質31.0%以上、脂質11.0%以上、水分6.5%以下、食物繊維12%、ビタミンA/16,500 IU、ビタミンD3/700 IU、ビタミンE/600 mg |
添加物 | 着色料不使用 |
穀物類 | 使用 |
カロリー | 376 kcal/100g |
原産国 | フランス |
ロイヤルカナン ユリナリーケアは、独自のミネラルバランスを採用。濃くなってしまいがちな尿を最適な濃度にすることで、健康な尿を保つことができます。
尿石を作らないためには、尿を濃くしないことが重要です。
ロイヤルカナン ユリナリーケアを総合栄養食として毎日に摂り入れることで、尿の濃度が薄くなり、おしっこの回数も増えてきます。
腎臓ケアも同時にできる
ピュリナワン 下部尿路の健康維持 F.L.U.T.H.ケア
商品名 | ピュリナワン 下部尿路の健康維持 F.L.U.T.H.ケア(チキン) |
量 | 2kg |
対象年齢 | 1歳以上 |
形状 | ドライフード |
原材料 | チキン、チキンミール、コーングルテン、小麦、米、脱脂大豆、鶏脂(オメガ6脂肪酸源)、フィッシュミール、大麦、とうもろこし、小麦たんぱく、たんぱく加水分解物、可溶性繊維、魚油(オメガ3脂肪酸源)、酵母(βグルカン源)、ミネラル類(カルシウム、リン、カリウム、ナトリウム、クロライド、マグネシウム、鉄、銅、マンガン、亜鉛、ヨウ素、セレン)、ビタミン類(A、D、E、K、B1、B2、パントテン酸、ナイアシン、B6、葉酸、ビオチン、B12、コリン、C)、アミノ酸類(メチオニン、タウリン) |
成分 | たんぱく質34%以上、脂質14%以上、粗繊維3%以下、灰分8.5%以下、水分12%以下、カルシウム0.6%以上、リン0.5%以上、マグネシウム0.1%、タウリン0.1%以上、ビタミンC64 mg/kg以上、ビタミンE493 IU/kg以上、オメガ3脂肪酸(DHA+EPA)0.2%以上、オメガ6脂肪酸(リノール酸+アラキドン酸1.2%以上) |
添加物 | 合成着色料・香料無添加 |
穀物類 | 使用 |
カロリー | 376 kcal/100g |
原産国 | タイ |
尿中のミネラルとアミノ酸のバランスを調整して、尿phを6~6.5になるようにコントロールします。
リンの含有量を適切に保ち、抗酸化成分ビタミンE、C、オメガ3脂肪酸を配合することで、腎臓の健康ケアもしてくれます。
分封パックでいつでも新鮮。健康面だけでなく、新鮮なお肉やお魚を使用することで、嗜好性も高くておすすめです。
コスパも気になる方におすすめ
カルカン 下部尿路の健康維持用 まぐろと野菜味
商品名 | カルカン 下部尿路の健康維持用 まぐろと野菜味 |
量 | 1.6kg |
対象年齢 | 成猫 |
形状 | ドライフード |
原材料 | 穀類(とうもろこし、小麦等)、肉類(チキンミール、チキンエキス等)、植物性タンパク、大豆、油脂類(パーム油、大豆油等)、魚介類、家禽類、野菜類、ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類、酸化防止剤、着色料 |
成分 | タンパク質:30.0%以上、脂質:10.0%以上、粗繊維:3.0%以下、灰分:9.0%以下、水分:12.0%以下 |
添加物 | 着色料、酸化防止剤 |
穀物類 | 使用 |
カロリー | 355 kcal/100g |
原産国 | タイ |
市販の人気フード「カルカン」の、下部尿路毛ケアに特化した商品です。
低マグネシウムと尿phをコントロールすることで、ストルバイト尿石やシュウ酸カルシウム尿石の形成を防ぐサポートをしてくれます。
着色料などの添加物が気になりますが、コスパも良いのでおすすめです。
下部尿路疾患予防に安いフードは買わない方がいい?
市販のフードの中では、値段の安い・高いと、予防の効果には関係がありません。
ただし、療法食の場合は、市販のフードよりも高くなります。
療法食の場合は、病気の目的に合わせた設計がされているからです。
下部尿路疾患で食べてはいけないものは?
・にぼし
・しらす
・かつおぶし
・わかめ
・海苔
これらの食材は、塩分が多く腎臓に負担をかかったり、リンやカルシウム・マグネシウムなどが豊富に含まれていてミネラルバランスに影響が大きいので、あまりおすすめできません。
腎臓病食との違いは?
ここで紹介しているキャットフードは、市販で販売している「総合栄養食」で、あくまでも予防にすぎません。
そのため、いわゆる慢性腎不全などの猫の場合は、これらの市販のフードでは対応できません。
必ず獣医の指導のもとで、療法食に変更する必要があります。
自己判断で、療法食と市販のフードを混ぜたりするのは絶対にやめましょう。
猫の下部尿路疾患予防におすすめのキャットフードまとめ
冒頭でもお話したように、猫は下部尿路疾患になってしまう子が多いです。
そのため普段から、飼い猫のおしっこの状態をよく見てあげることが、一番の予防になります。
もし明らかにおかしい場合は、すぐに獣医さんに相談してください。
下部尿路疾患になってしまうと、血尿が出たり、痛みが出たりして、余計にトイレに行きたがらなくなり、悪循環になってしまいます。
そうなる前に食事でうまく予防してあげたいですね。